BABY & KIDS
「お菓子あげるから一緒に行こう」悪意ある誘いから身を守る心の距離感
悪意や犯罪原因をもった人から危険な誘いを受けたとき、安全に回避するためにはどのような準備が必要でしょうか。安全インストラクターの武田先生に伺いました。
悪意ある人に騙されない「心の距離感」
そしてもう一つ、「心の距離感」も身につける必要があります。騙されたり、危ないことに誘われたり、嘘のお願いごとをされたりしないための「見えない距離感」です。
「あれ?おかしいな」の違和感が大切
悪意や犯罪原因のある人は、さまざまな手を使って子どもに近づこうとします。
「お菓子があるから一緒に行こうよ」
「ねえ、お友だちになろうよ」
「かわいいね、写真撮ってもいい?」
「子猫がいるから、見に行こうよ!」
このような突然の誘いに対して、「どうして知らない人がお菓子をくれるんだろう…」「大人なのに『お友だちになろう』っていうのはなぜ?」などと違和感をもつことが大切です。
このとき、相手の見た目や服装で判断するのは避けましょう。「女の人だから怖くない」「お兄さんだから大丈夫」などと判断し始めると、その人の言う事すべてを信じてしまいがち。あくまで言動そのものに対して、「あれ、おかしいな?」の判断ができるようにしていきましょう。
違和感があれば「できません!」ときっぱり断る
違和感を感じたとき、誘いやお願いごとに対してきっぱりと断る勇気も必要です。覚える言葉は「できません!」だけでOK。いざという時、大人でも頭が真っ白になりがち。なるべくシンプルな言葉を身に着けておきましょう。「できません!」は、さまざまな誘いに対して、毅然と断る意思が伝わります。
また、シンプルに断ることが大切なのは、思いがけない発言の中に「隙」が生まれることがあるからです。もし「お母さんに言われているから…」などと言えば、「お母さんのこと知っているよ。だから大丈夫!」などと巧みに安心感を与えようとしてきます。
具体的なやりとりで「できません!」の練習をしよう
家の外、園の外で「できません!」と断る練習をしましょう。具体的なやりとりの中で「できません!」と言うロールプレイングがおすすめです。
例えば
・このお菓子食べていいよ→ できません!
・子猫を見に行かない? → できません!
・かわいいから写真撮っていい? → できません!
・暗くなってきたから車で送ってあげるよ → できません!
このような練習をする際、「怖そうな人」「悪い人」を演じる必要はありません。むしろ普通に誘ってみてください。実際に子どもに近づく人は、見た目も誘い方もごく普通なことが多いからです。
誰の誘いを断るのか
「知らない人の誘いは断る」と教えることもできますが、知っている人、顔見知りの人の中にも悪意や犯罪原因のある人がいるかもしれません。「知っている」かどうかだけで判断するのは難しいのが現状です。
いま、子どもの防犯ではここが一番難しいことかもしれません。「誰が安全で、誰に気を付けるべきなのか…」。すべてのコミュニケーションを遮断するような方法はおすすめできません。「助けて!」が言えなくなってしまうからです。一方、誰に対しても信じてしまうようなことは安全ではありません。この判断は、大人でも難しいことなので、地域や家族の現状を踏まえて、一緒に考えることが大切です。
また、相手が誰であっても、怖いと感じたときは「逃げる」が一番です。大人に何を言われても、「逃げるかどうかは自分で決めていい。逃げていい。」と伝えてあげてください。
サムネイル:津田蘭子