PREGNANCY

乳酸菌で妊娠力が上がる!?子宮内環境を整えよう

腸に良さそうなイメージのある“乳酸菌”。実は腸だけではく、膣内にも乳酸菌がいるとご存知ですか? 膣内に生息し、膣内環境を正常に保つ役割のある乳酸菌こと、デーデルライン桿菌。この乳酸菌の産生する乳酸のおかげで、膣内のpH値が酸性に保たれ、病原細菌の侵入増殖を防いでくれているんです。乳酸菌と妊娠の関係性について、アイジェノミクス社に聞きました。

膣炎があると、精子が子宮内に侵入しにくい?

一般的に、膣炎は直接的に不妊症へ影響するものではないとされてきました。しかし最近の研究から、膣炎は妊娠率を低めているのではないかという見方が出てきました。

膣内や子宮内の環境を守るには、乳酸菌が有効

成人女性の3分の1は膣炎にかかったことがあると言われます。主な原因は細菌感染(約40%)やカンジダ症(約20%)。これらの細菌感染を防ぐものとして、“乳酸菌”が有効なのです。

「健康な女性の膣内は、乳酸菌の一種であるラクトバチルス菌がグリコーゲンを使って乳酸を作り、酸性に保たれます。それが悪玉菌から膣を守るバリアとなっています」(アイジェノミクス社)

また、膣内から繋がっている子宮内にも十分なラクトバチルス菌があると妊娠にとって良い効果があるのだそう。

「実際に最近の研究では、子宮内のラクトバチルス菌の有無と妊娠率・妊娠継続率に相関があることがわかりました。どうやら乳酸菌は、妊娠にとても重要な役割を果たしているようです」(アイジェノミクス社)

metamorworks / PIXTA

乳酸菌の有無はどうすればわかる?

EMMA(子宮内膜マイクロバイオーム)検査で、子宮の細菌環境を確認することができます。子宮内の乳酸菌、悪玉菌の種類や割合を調べることができるそうです。

「検査をしてみると、3割ほどの女性の子宮内にラクトバチルス菌が足りていないことがわかりました。乳酸菌と悪玉菌のバランスが悪い場合は、プロバイオティクスや抗生物質などを提案しています」(アイジェノミクス社)

膣内や子宮内の乳酸菌を増やすには

乳酸菌と聞くとヨーグルトを思い浮かべる人も少なくないはず。しかし、ヨーグルトを含め、食事で得る乳酸菌のほとんどは腸内を整えることが目的で、膣内や子宮内の環境を整えることを目的とした乳酸菌ではありません。仮にその菌がラクトバチルス菌だったとしても、腸で増えた菌が膣まで到達するには時間がかかってしまうそうです。

「もっとも有効なのは、膣剤や専用のタンポンです。乳酸菌膣剤や乳酸菌を塗したタンポンを使用すれば、直接ですので効果が極めて早いです。」

乳酸菌の入った専用タンポンを使うと、3日間で乳酸菌の割合が平均10%から90%まで増えていたというデータも。

「今後は日本の大手メーカーにも作っていただきたいので、お願いしているところなんですよ」(アイジェノミクス社)

膣にも乳酸菌! 新しいですね。ぜひ日本のメーカーに実現してもらいたいところです。また、膣炎の症状に心当たりがある場合は、早めに医師に相談することも大切です。



取材協力:アイジェノミクス・ジャパン
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取材・文:有馬美穂 サムネイル:Fast&Slow / PIXTA