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がまんしない節約、快適な省エネ!これからの住宅の標準はZEHになる!

ZEHという名前の住宅、聞いたことはありますか? ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、「ゼッチ」と読みます。まだ世間ではあまり知られていないようですが、ZEHは、国がこれからの住宅のスタンダードとして強く普及を推し進めている住宅なのです。本記事ではZEHの魅力を伝えるとともに、ZEHを建築した場合の補助金についても解説します。

ZEHとは何?

花火 / PIXTA

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、1年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになる住宅のことを言います。
一次エネルギーとは、石油、石炭、天然ガスなど自然界にあるものから得られるエネルギーのことです。多くの一次エネルギーは、消費することにより地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出します。

国がZEHの普及を推進する背景には、地球温暖化の他にも、災害のたびに大規模な停電が起こったり、国際情勢の緊張により石油などの供給が不安定になったりすることがあり、そのために住宅の省エネの重要性や、エネルギー自給の必要性が強く認識されているのです。
今後ZEHの割合が増えていけば、これらの問題を抑制することができます。国は、2020年までに新築注文戸建住宅の過半数をZEH化するという目標を立てています。※1

ZEHのメリットとデメリット

それではZEHはどのような住宅を言うのでしょうか。資源エネルギー庁では「ZEHの定義」を以下のように定めています。(※2)
①高断熱基準…今までの省エネ基準をさらに強化
②設備の高効率化…エアコン、換気設備、照明器具、給湯器など
→①と②により、今までの省エネ基準よりも20%以上高い省エネ基準を目指す
③創エネ…太陽光発電などにより電気を創る

高い省エネ基準を正味100%達成した住宅をZEHと言いますが、中にはどんなに頑張っても100%達成することがむずかしい場所もあります。たとえば、寒冷地や多雪地など十分な日当たりが得られない地域、また都市部の住宅密集地や大きな屋根面積が取れない狭小地などです。このような立地の場合でも、正味75%以上の省エネを達成した住宅については、Neary ZEH(ニアリー・ゼッチ)やZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)として、後でご紹介するZEHの補助金を受けることができます。

ZEHのメリットは、なんといっても光熱費が大幅に節約できることです。条件にもよりますが、1年間の光熱費がゼロまたはほぼゼロになるので、家計にもやさしい住宅です。
また、太陽光発電で創られる電気よりも家庭で使う電気のほうが少ない時間帯には、売電収入(電気を売却して得る収入)を得ることもできます。
さらに災害時には一時的に非常用コンセントを使えるので、携帯電話の充電やテレビで災害状況の確認ができることなどもメリットのひとつです。蓄電池を設置すれば、創られた電気を蓄えて災害時に使うことができるため、より長い時間にわたって電気を使える状態が続けられます。

もうひとつ、ZEHの特徴として「がまんしないで省エネが達成できる」ことがあります。
これまでの省エネや節電と言うと、電気をこまめに消したり、エアコンをつけないでがまんしたりするなど、生活の快適さを犠牲にしていました。
ところが、ZEHでは普通に生活をしながら大幅な省エネができます。
「快適な省エネ」、これがZEHの大きな魅力なのです。

無理なく節約・省エネができる反面、ZEHは建築費が高額になってしまうというデメリットがあります。
ZEHを建設するためには、標準的な住宅よりも200万円以上かかるとされており、太陽光設備まで設置すると300~400万円もかかるとされています。価格的なネックがZEHの普及に時間がかかっている理由のひとつでしょう。

ZEHの補助金、受けられる条件は?

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建築費が高額になるZEHですが、国はZEHを普及させるために支援事業で補助金の支給を行っています。ZEHは性能別に3タイプに事業分類されています。そして、より高性能なZEHほど高額な補助金額を受け取ることができます。

①ZEH支援事業

対象になる住宅:ZEH、Neary ZEH、ZEH Oriented
補助額:70万円
蓄電池を設置する場合はkwh当たり2万円の補助が上記に追加して受けられる(ただし、次のうち低いほうの額が上限。20万円あるいは設置費用の1/3)

②ZEH+(ゼッチ・プラス)実証事業

再生可能エネルギーの自家消費拡大を目指した高性能なZEHに対する補助 
対象になる住宅:ZEH+、Neary ZEH+
補助額:115万円

③ZEH+R(ゼッチ・プラス・アール)強化事業

停電時のレジリエンス(復元力)を強化したZEHに対する補助 
対象になる住宅:ZEH+、Neary ZEH+
   停電時にメインの部屋で電源を確保できるように「4kwh以上の蓄電システム」と「太陽熱利用温水システム」のうちひとつまたは両方を設置
補助額:125万円
蓄電池を設置する場合はkwh当たり2万円の補助が上記に追加して受けられる(ただし、次のうち低いほうの額が上限。20万円あるいは設置費用の1/3)太陽熱利用温水システムを設置する場合は1戸当たり(液体式)17万円、(空気式)60万円


さらに、「先進的再エネ熱等導入支援事業」として、12万円~90万円の補助金があります。①または②との併用が条件ですが、直交集成板、地中熱ヒートポンプシステム、蓄電システムなど、指定された5つの先進的な建材や設備のうちいずれかを設置することで受け取ることができます。
補助金の詳細は環境共創イニシアチブのホームページで確認してください(※3)

なお、①②の補助金を受けるためには、一般社団法人環境共創イニシアチブが認定している「ZEHビルダー」として認定している建築会社で建築することが条件になります。
自社が建築する住宅のうち、ZEHが占める割合が2020年度までに50%以上とする目標を掲げているハウスメーカーや工務店などがZEHビルダーとして登録されており、ホームページで確認することができます。また会社ごとのZEHの達成率も公開されているので、ZEHへの取組みが進んでいる会社を確認することもできます。(※4)

補助金を上手に活用することにより建築費の負担もある程度抑えられ、ZEHをより選択しやすくなるのではないでしょうか。

まとめ ~これからの住まいづくりを考えるときのポイント~

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住宅は一生に一度の大きな買い物と言われ、多くの場合長く住み続けることになります。そのため、耐震性などの安全性はもちろんですが、快適性や省エネにすぐれ、なおかつLCC(ライフサイクルコスト=住み続けるためのコスト)を少しでも抑える住宅選びは大切です。住宅購入を検討するときには、「がまんしない省エネ」「快適な省エネ」を実現するためにZEHを検討してみてはいかがでしょうか。

執筆者プロフィール:

橋本 秋人(ファイナンシャル・プランナー)
住宅メーカーで30年以上相続対策・不動産活用を担当。在職中にCFPⓇ、FP技能士1級を取得。勤務先での業務及び日本FP協会埼玉支部、金融機関、一般法人等でセミナー講師、相談、執筆などを経験。
2016年にファイナンシャル・プランナー、不動産コンサルタントとして独立。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてセミナー、執筆、不動産コンサルティング、相談業務を中心に活動。不動産投資サイト等にコラム連載中。その他メディア執筆多数。

サムネイル:ふじよ / PIXTA