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ママ友には聞けない…平均的な家計になるには貯金がいくら必要?

大切だと分かっているから節約は心がけているけれど、なかなか増えていかない貯金。周りと同じくらい貯金をしたいけれど、いくら貯金があれば平均的な家計と言えるのでしょうか? 同年代の方の平均的な貯金額と、将来的に平均的な貯金額に届くためには、毎月いくら貯金すればいいのか、ママ友にはちょっと聞けない家庭の貯金事情について解説します。

平均的な貯金額はいくら?

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ママ友が家族で旅行に行ったり、季節ごとに服などを買ったりするのを見て、家計に余裕があってうらやましいなと思うことはありませんか。少しでも豊かな生活を目指して、普段は無駄なものを買い控えるなどして節約・貯金しているにも関わらず、なかなか貯金が増えていかないと感じることもあるでしょう。

ほかの家庭の貯金事情はどうなのかと思っても、ママ友に直接、貯金がいくらあるかは聞きにくいですね。そこで、2018年の家計調査報告(貯蓄・負債編)から、平均的な貯金額がいくらなのか調べてみました。

2018年の家計調査報告によると、二人以上の世帯における2018年平均の1世帯当たりの貯蓄額の平均値は1,752万円です。年間収入は622万円であり、貯蓄額は年間収入に対して281.7%となっています。

それでは、年代別では2018年に貯金がいくらあったのかも見てみましょう。40歳未満の世帯の貯蓄額は600万円、40~49歳は1,012万円、50~59歳は1,778万円、60歳~69歳は2,327万円、70歳以上は2,249万円と、60歳以上は2,000万円を超えていることが分かります。世帯収入は40歳未満が619万円ですが、60歳~69歳は596万円であり、40歳未満は60歳以上よりも、収入は多いけども貯金が少ないということもわかります。
つまり、40歳未満からコツコツ貯金していると貯金習慣が身につき、年齢が高くなり世帯年収が少なくなってからも貯金が継続できる家計となることが予想されます。

40歳で貯金を600万円にするには毎月いくら貯めればいい?

40歳未満の平均的な貯金額である600万円を40歳時点で持っていれば、おおよそ平均的に貯金できていると考えられます。では、現在貯金が0円であると仮定して、40歳までに貯金を600万円にするためには、毎月いくらずつ貯金をすればいいのでしょうか。

貯金には銀行の普通預金を使うと仮定しますが、2019年10月現在の普通預金の金利は0.001%のためほとんど利息が付きません。そこで利息を考慮せずに計算してみます。

現在、貯金が0円であるとします。今の年齢が20歳の場合には20年間(240ヶ月)、今の年齢が25歳の場合には15年間(180ヶ月)、今の年齢が30歳の場合は10年(120ヶ月)で600万円を貯めることになります。利息を考慮しないので、単純に貯金が可能な月数で均等に分割していくと、20歳から貯金すると月に2万5千円、25歳から貯金すると月に3万3,333円、30歳から貯金すると月5万円貯めれば40歳時点で600万円が貯まります。

つまり、毎月多くの貯金ができない家計では1ヶ月でも早く貯金を始めることで平均に達し、貯金がすぐにスタートできない家計では毎月の貯金額を増やすことで平均額に達することができます。

60歳で貯金を2,000万円にするには毎月いくら貯めればいい?

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60代以上の平均的な貯金額は2,000万円以上であるため、60歳で2,000万円の貯金を持っていれば平均と言えます。そこで毎月いくらずつ貯めていけば2,000万円が貯まるのか、考えてみましょう。

ここでは、40歳時点で600万円は既に貯金していると仮定します。すると、40歳から60歳までの20年間(240ヶ月)で1,200万円貯める必要があります。ここでも利息は考慮しないで計算します。すると、毎月5万円ずつ貯めていくと20年間で1,200万円が貯まり、40歳時点の貯金と合わせて2,000万円になります。

つまり、30歳で貯金0円でも毎月5万円ずつ貯金すれば、60歳で平均的な貯金額2000万円に達することができます。

毎年貯金できるのはいくらか考えよう

月額5万円を30年間貯め続ければ平均的な貯金であるというのは理解できても、実際に毎月5万円を貯めていくのは、かなりの努力が必要です。

例えば、現在、収支が同額であり、貯金が全くできていない家計の場合、毎月の収入を5万円増やすか、支出を5万円減らして貯金をすることが必要となります。これを30年間続けるというのは根気も必要ですし、実際にはさまざまなライフイベントによって支出が増えたり収入が減ったりするのを避けられないでしょう。

支出が増加する代表的なものには、子どもの進学や住宅購入などがあります。専業主婦だった妻が新たにパートを始めたり、夫が勤務先で昇給したりして収入が増えることもあるでしょうが、転職や、勤務先によっては50代を過ぎて役職定年などにより収入が減ることもあるのです。

平均的な家計の貯金額を目指して毎月いくら貯めるかを考えたときに、毎月5万円という一定額の貯金が難しい場合には、年代別で貯金額を変動させることも考えていきましょう。

例えば30歳時点では収入は少ないが今後は収入増が見込める場合には、30代では月3万円、40代では月5万円、50代では月7万円というように傾斜をつける方法もあります。また毎月固定額ではなく、収入のうちの2割は貯金するなど、割合を決めておく方法も考えられます。

子どもの進学などで40代の支出が増えて貯金が難しいと想定される場合は、40代の間は妻のパート収入を増やすことや子どもにもアルバイト収入を得てもらうなどで、支出増を補うこともあるでしょう。

このように、いくら貯金をするかは、目標額を決めておき、それぞれの家計にあった方法を見つけていくことが貯金を続けていくコツになります。

何にいくら貯金すればいいのか?

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何にいくら貯金するかも悩ましいものです。普通預金の金利0.001%が続くとなると、いくら貯金をしても利息がほとんどもらえず、預けたお金は増えていきません。貯金の方法は、普通預金以外にも、保険や株式などさまざまなものがあります。普通預金では利息がほとんど付かないので、株式や投資信託などリスクのある金融商品へ投資して運用してお金を増やすという考え方もあります。株式や投資信託にはリスクがあることを知り、貯金のうち、いくらを投資にあてることが可能なのかも考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者プロフィール:

杉浦 詔子(ファイナンシャルプランナー)
みはまライフプランニング代表
2005年にCFP資格を取得し、セミナーや相談会等のファイナンシャル・プランニングを開始。2012年に「みはまライフプランニング」設立。「働く人たちの夢をかたちにする」会社員とその家族等へのキャリアプラン(生活)とライフプラン(家計)の相談と講義、執筆を行っている。女性のキャリアと家族や恋愛等コミュニケーションに関する相談、FP等資格取得支援にも力を入れている。保有資格:CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、産業カウンセラー、キャリア・コンサルタント


サムネイル:ふじよ / PIXTA